学長室だより

存在の喜び

木々の若葉が透き通る新緑の鮮やかなころとなりました。遠くの山々の山頂付近の谷間にはまだかなり多くの雪渓が見えます。大学周辺ではゴールデンウィークに田植えがかなり進み、日中は初夏のような気候になってきました。学内のニュートンのリンゴの木は今年も満開の花をつけています。

ニュートンのリンゴの木が白い花を咲かせています

ニュートンのリンゴの木が白い花を咲かせています

初夏の強い日差しを受けて木々の若葉は勢いよく育って、やがて深緑色のしっかりした葉となり、幹は一回り大きくなって秋までに年輪を刻んでいきます。田に植えられた早苗は、3か月もすると稲穂をつけて4か月後には刈り取られていきます。人間も初夏の日差しを浴びていると、四季が循環する大自然の営みの中では、生きとし生けるものと共に生かされている小さな存在にすぎないことを思わされます。それと同時に太陽の恵みの下で生かされている存在の喜びに気づかされます。「生きている」のではなく「生かされている」ことに気づかされます。

人間の青年時代は初夏のようであり、また壮年時代は夏の盛りのように感じられます。青年時代は悩み多い時期でもありますが、学生たちが青年時代を過ごす大学において、人生の土台を築く学びや真理、友人や教師と出会って、今後の生き方の方向を決めるきっかけとなる経験をしていただきたいと思います。それには受け身であった自分から脱皮して、何事も自分から積極的に挑戦しようとする心構えを持つことをお勧めします。(山田 耕太)