社会は血の復讐を制限できたのか
「目には目を」は、同害報復の形で加害者の責任を明示したものでした。他方「命には命を」の原則が存在したのは、古代社会に血の復讐という慣習が残っていたからです。殺人は死罪ですが(ウル・ナンム法典1条、出エ...
「目には目を」は、同害報復の形で加害者の責任を明示したものでした。他方「命には命を」の原則が存在したのは、古代社会に血の復讐という慣習が残っていたからです。殺人は死罪ですが(ウル・ナンム法典1条、出エ...
「目には目を」は、古代メソポタミアでは、復讐の拡大を防ぎ、他人に危害を加えると、金銭でなく自分の肉体をもって同じ害を償うことを義務づけ、自由人に尊厳ある行動を勧めるものでした。旧約聖書も同じ文化(レビ...
裁判員制度にちなんで法に関わる題材を選んできましたが、語り落としてはならないものに復讐法と誤解されているタリオ(同害報復刑)があります。 表題の言葉は復讐を合法化するものではありません。報復を勧める格...
神とイスラエルの契約だけで、聖書の契約思想を語ったことにならない。時空を超えた契約思想は、より深められ精神化されるに至ったからである。 預言者エレミヤは、前587年に国が滅亡する頃エルサレムで新しい契...
モーセを仲保者として神がイスラエルとの間に結んだ契約は、その世代だけのものではなかった。申命記29章13節~14節でモーセは「私は、あなたたちとだけこの契約を結びこの誓約を交わすのではない。今日われわ...
契約は祝福と呪いを伴っていた。契約を守る者には祝福が、契約を踏みにじる者には呪いが宣言されている。申命記には「あなたは町にいても祝福され、あなたが畑にいても祝福される。あなたの胎の実も、あなたの土地の...
古代メソポタミアでの商取引や売買は、契約を媒介としていた。取引には複数の証人が必要であった。主権国が他の国家群を服属させる宗主権条約(契約)では、相手に守らせる規定が言明され各国の神々が証人として召喚...
古代には子種という概念があった(創世記38章9節、民数記5章12節等)。懐妊から出産までがこの概念によって理解されていた。子供の誕生は神の祝福の象徴であったが、懐妊しないと女性は祝福に与っていないとさ...
申命記24章5節に「ある人が新妻を娶ったときは、その者は兵役に就いてはならない。彼には何の義務も負わせてはならない。一年の間、彼は務めを免除されたまま自分の家にいて、娶った妻を喜ばせなければならない。...
十戒には、偽証してはならない(「あなたが偽証するはずがない」の意)という戒めがある。偽証は人を欺き、無実の人を死に追いやる場合があった(列王記上21章8節~24節)。訴訟では物証よりも証言が重視された...