学部・学科ブログ

沖縄県の防災に対する取り組みを視察してきました!

 

 私たち共生社会学科の学生たちは、2023年9月17日~9月20日にかけて沖縄県における防災の取り組みについて視察してきました。新潟県では台風の被害にあうことはこれまであまりありませんでした。しかし、近年の気候変動によって、台風の進路や強度が変化し、新潟県でも風水害のリスクが高まっています。そのため、新潟県においても台風に対する防災意識の向上が必要となっています。一方、沖縄県では毎年6~7個の台風が上陸しており、大きな被害を受けています。その結果、沖縄県では暴風雨に耐えられる住宅を建設したり、防災を学ぶ施設を設置することによって住民の台風に対する防災意識向上に努めています。私たちは台風の被害が少ない新潟県において、沖縄県の台風被害を防ぐための取り組みは大いに参考になると考え、現地調査を実施することにしました。

 まず、沖縄県の沖縄市と名護市にある防災研修センターを視察しました。沖縄市の防災研修センターは「災害を知る、災害を自ら体験する、災害に備える」を基本方針として、防災を我が事として捉えることができる設備が設置されていました。地震体験コーナーや防災クイズコーナーがありましたが、直前の台風の影響で機器が故障していたため私たちが体験することはできませんでした。しかし、その代わりに職員さんが映像資料を使いながら丁寧に説明していただいたので、台風に関する知識が少ない私たちでも理解を深めることができました。

 

 名護市の防災研修センターでは、体験コーナーが充実していました。特に水害時に車外や屋外に脱出するコーナーや消火器を使った消化体験、地震シュミレーション、煙からの脱出体験等、数多くの体験コーナーが設置されているのがとても印象的でした。地震の発生が少ない沖縄県では、地震に対する啓発が逆に課題となっていると職員の方が説明されていました。

 また、展示物では沖縄県全土のハザードマップをジオラマ化した模型があり、ハザードマップを段ボールでジオラマ化している私たちにとってはとても参考になり、今後の活動でも参考にしたいと思いました。

 防災研修センターの視察を通して、過去の台風の被害から教訓を学び、現在に生かしている沖縄県の姿を見ました。また、沖縄県は台風に対しての防災意識が高い一方で、過去に被害があまり出ていない地震に対しての意識が低いと防災研修センターの方が仰っていました。私たちは台風に対する防災意識の高さと地震に対する防災意識の低さという沖縄県の特徴を知ることができました。また、防災を体験することで、実際に災害が起きた際にはどう行動するのか想定しておく大切さを学び、自分事として防災を学ぶことの重要性を感じることができました。

 次に、名護市の安里川にある金城ダムを訪れました。

 金城ダムは本土ではなかなかない、住宅街の中で設置されています。安里川自体が中心市街地を通っているため、このような街に囲まれたダムになっています。安里川の川幅はとても狭く、大雨のたびに氾濫し毎年多くの被害があったそうです。しかし、周りを住宅街に囲まれており、流れ込む川の川幅が広げることができないため、金城ダムによって治水を図っています。その建設は琉球石灰岩で石張りしているのでかなり沖縄らしい雰囲気のあるダムでした。街中にあることによって防災だけでなく、普段からお散歩コースなどで利用する方が多く、市民の憩いの場として活用されていること点が、私たちの砂防ダムの活用方法について考えるきっかけとなりました。

 

 金城ダムの視察を通して私たちは、住宅街や市街地に近い川の氾濫対策としてダムを設置するという、沖縄県の地域特性に合わせた治水対策の一例を見ることができました。また、遊歩道や公園をダム付近に設置し、ダムを市民の生活に密着させることで、防災と共生することの可能性を感じることができました。

 最後に、なは市民活動支援センターを訪れました。

 なは市民活動支援センターは市民活動団体やボランティア団体を支援するために那覇市が設置した拠点です。様々な活動が展示されていますが、防災に関する展示も多く、ハザードマップなどが展示されていました。わかりやすく地図としてまとめられている展示方法は参考になりました。

 なは市民活動支援センターの視察を通して、ハザードマップの作成や関連資料の展示など、沖縄県の市民やボランティアの防災に対する取り組みを知ることができました。また、市民の方が利用している施設にハザードマップの展示や防災に関する書籍を置くことにより、防災情報を人の目に入りやすくし、防災に関する情報発信の方法や工夫を学ぶことができました。

 今回の視察を通して、水害時の車内脱出体験などの新潟県では見ることがない、沖縄県の地域特性を意識した防災教育の取り組みを知ることができました。

 台風の被害が多い沖縄県では風水害に対する防災意識が高い一方、地震に対する防災意識があまり高くないことが課題であり、その課題解決に努めていることを確認することができました。地域により起きやすい災害は違いますが、どの災害も起こる可能性があります。一つの分野に特化して防災教育をするのではなく、どんな災害が起きても生き残れるよう、備えることが大切だと私は考えます。新潟では地震や土砂崩れ等の災害に対する啓発に力を入れていますが、風水害に対する防災意識の向上も、近年の暴風雨の被害を考えると必要であると改めて感じました。自宅の最寄りの避難所の確認や、どのレベルまで川が増水したら避難するのか、実践的な避難訓練を行うなど、いざという時が来ても焦らず落ち着いて対応できるように普段から防災について意識するようなきっかけ作りが大切であると感じます。自治体や会社・学校などでもっと防災について考える時間や触れる時間を作れるような世の中にしていくことが理想的です。今の私ができることとして、まずは今回の視察を通して学んだことを家族や友達に伝え、身近な所から防災意識の向上を行えるよう心がけたいと思います。

 視察を通じて学んだことを活かして、あらゆる世代が防災について学べる仕組みをつくり、自分事として防災を学べるようなプログラム内容を考える必要あると感じました。年齢により災害が起きた際のシチュエーションを考え、大人であれば会社からの、子供であれば学校からの避難経路や避難場所の確認など、自分の生活とリンクさせながら考えられるような内容にすると共に、それを実際に体験できるようなイベントや機会作りをし、防災を日常生活に溶け込ませるような仕組みを作る必要性があります。沖縄県の防災教育センターにあったような車内脱出体験や、消火体験の機器などを防災センターだけに設置するのではなく、ショッピングセンターなどの様々な世代が普段から利用するところに設置し、体験できるようにすることで、防災に対して気軽に学べるきっかけ作りを行う事で、防災意識の向上をはかれるのではないでしょうか。まず私たちができることは沖縄県で学んだ防災についての情報をわかりやすく発信し、防災について触れあう機会を作る事です。イベントやSNSなどを通して防災について少しでも多くの人が考えるきっかけを作れるよう努めたいと思います。これからも新発田市民や新潟県民の防災意識向上に取り組んでまいります。

(共生社会学科4年 渡邉 優花

 

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