チャペルのひびき

異なる尺度のもとで、自らの価値を見いだすこと

チャペル・アワーは、説教を神崎典子先生(日本基督教教団新潟教会牧師)がご担当くださいました。神崎先生は、学生時代に、釜ヶ崎において経験された日雇い労働者の人々との交流を通して学びとられた大切なメッセージを分かち合ってくださいました。それは「生きているだけでOK」との、生き悩む人々に向けられた主イエスの言葉やまなざしからも読み取ることのできるメッセージ。功績、能力、生産性などの尺度により、また他者との比較、あるいは他者からの心無い視線により、おとしめられ、傷つけられ、自分の価値を見失ってしまう私たちに、それらとは異なる、ありのままの存在自体を肯定する尺度が存在することを、先生は教えてくださいました。アッセンブリ・アワーでは、千原正子先生(恵光学園第一幼稚園職員)が、海外青年協力隊の隊員として数度にわたり参加された、メキシコやグァテマラなどの中南米の国々での活動についてお話しくださいました。栄養士としての立場より現地の作物をアレンジしてのお好み焼きを作られたりしたことなど、貴重な体験をお伝えくださいました。先生のお話の中で印象的だったのは、協力隊での活動を含むご自身のこれまでの歩みが、常に順風満帆だったわけではなく、何度も方向性を見失い、生き悩む時があったとのこと。しかし、振り返ってみれば、すべてのことがつながっており、神さまは、人に生かされ人を生かすことのできるような次の場所を備えていてくださったとのことでした。人生の途上にあって、同様に、生き悩み、自らの存在価値を見失ってしまいがちな私たちに向けてのメッセージを、神崎先生とは別の仕方で千原先生も届けてくださったように思います。(下田尾 治郎) 

Ⅰ.チャペル・アワー 
説教 「生きていればそれでOK」 日本基督教教団 新潟教会 牧師 神崎典子 先生

Ⅱ. アッセンブリ・アワー
講話 「国際協力、青年海外協力隊、メキシコ、グァテマラ、母子栄養改善」 恵光学園第一幼稚園職員 千原正子 先生

<参加学生の感想>
感想1) チャペル・アワーで神崎先生がお話しくださった中で、「キリストは切り捨てられた人の友である」という部分が、今回のタイトルである『生きていればそれでOK』という言葉と同じくらい印象的でした。今の社会にはびこる残酷な空気によって傷つけられてしまっても、神はその人の存在そのものを大切にし、寄り添ってくれるというのは、本当に勇気づけられるような考え方だと思いました。私自身、周りからの評価を過度に気にしてしまって相談相手にあきれられてしまうこともあるので、今回知った言葉を胸に、自分の中で前向きに区切りをつけていきたいです。また、アッセンブリ・アワーでは千原先生がご自身の青年海外協力隊での活動などメキシコとグァテマラでのお話をしてくださり、常に前に進んでいるところが印象的でした。年齢問わず挑戦し続ける姿勢が、人との出会いを多くし、新たな世界の発見につながってそれがまた誰かのためになるのだと再認識できました。
感想2) 大人になっても将来が不安だという言葉を聞いて私は安心できた。どれだけ努力しても、貴重な経験をしても将来のことで悩んで考えて過ごしている大人の言葉はきっと学生にとって覚悟や不安を思わせる場合が多いけれど、捉え方次第で悩むのももがくのも当たり前で子どもと大人も悩む事柄は違えどそれぞれ抱えているんだと安心できる。千原さんのように何がしたいか分からないというタイミングでとりあえず興味のあるものに挑戦する行動力は誰でも持っている力ではないのでうらやましい。お話を聞いていて思ったのは、自分だけの経験は特別で貴重なものになるし、生きていく上で必ず生かせるものであるということだった。そして、同じことを極めたり、同じことを続ける力はすごいと思うけれど、いろいろな世界へ飛び込んでたくさんのことを経験することは魅力的であり、寛容さやいろいろな目線から物事を捉える力が得られる生き方だと新しい発見があった。千原さんの人間くささや素で生きている人柄が話の節々に感じられた。